ジャニーズ性加害問題 非難する声に違和感

1.ジャニーズ性加害問題と非難の声

現在、世界的に問題となっているジャニーズ性加害問題。戦後最悪の性犯罪であるとして、当然の如く一般人や芸能人からも、ジャニー喜多川氏の性的虐待行為を隠蔽していたジャニーズ事務所および同行為を隠蔽していたと思われる芸能関係者やメディアなどへの激しい非難の声が上がっている状態となっている。

ただ、私はそんな"外部の非難する声"にとても強い違和感を覚えてしまう。

2.非難する声に覚える違和感

ジャニー喜多川氏および同氏の性的虐待行為を隠蔽してきた関係者たちを擁護する気は全くない。むしろ非難されて当然であるし、これら当人を含む関係者たちには強い嫌悪感だけでなく吐き気すら覚える。

ただ、これら"問題を認知しながらも対処してこなかった関係者たち"を批判や避難している人々の中で、彼らを批判または非難するに値する人は何人いるのだろうとも思うのだ。

3.行動しない人々

私には活動家としての一面があり、その活動の中で、日本人の黒い部分というものを嫌というほど見てきた。そして私の知る限り、日本人の多くは日常の中で様々な問題を見て見ぬフリをしているはずである。何か問題があっても他力本願で、長いものにまかれるなどして対処しない。そんな人が圧倒的多数であるはずだ。

例えば、社内でセクハラやパワハラ行為が行われている事を知っていながら、見てみぬフリをしていないだろうか。例えば、セクハラやパワハラでなくても、自分がいる業界や会社等で明らかに問題行為が行われている事を知っていながら、見て見ぬフリをしていないだろうか。

明らかに問題がある事を認識していながら、本来なら出来ることがあるにもかかわらず、何もしない自分を正当化して、その問題に対処しようとしないのであれば、それはジャニーズ性加害問題に対処してこなかった関係者たちと変わりないのではないだろうか。

4.非難するなら行動せよ

私は、前述したような一部の人たちに「自分は目の前にある問題に対して行動していないのに、同じく問題に対して行動しなかったジャニーズ事務所関係者などを悪く言うな」と言いたいわけではない。

ただ、それほどまでにジャニーズ性加害問題に関与した人間たちを厳しく非難するのなら、日頃から目の前にある問題に対して、もっと積極的に考え、可能なら行動して欲しいのだ。

日本で大きな問題に対して正しい事をしようとした時、一番の壁となるのは人々の非協力的反応であることが非常に多い。問題を認識している人だけでも行動してくれれば解決しているであろう事だって沢山あるのに、人々が行動しないせいで問題が放置されている。それが現状だ。

だからこそ、何もしなかった他人をそこまで厳しく非難するのなら、日頃から目の前にある問題に対して、もっと行動を示して欲しい。ただそれだけだ。

【幼児虐待】田川星華ちゃん傷害致死事件 市の対応に重大な過失か

事件概要

田川星華ちゃん傷害致死事件は、2023年6月に奈良県橿原市で発生。容疑者である山下翔也(27歳)が、交際相手である女性の子供・田川星華ちゃん(4歳)の腹部を圧迫する暴行を加えて死亡させた疑いがあるとして逮捕された。

news.yahoo.co.jp

なぜ市は事件の発生を防げなかったのか

この事件における最大の問題点は、「なぜ市は事件の発生を防げなかったのか」という事である。

報道が事実である事を前提とするが、県によると、2020年10月以降、医療機関などから星華ちゃんに対する虐待を疑う通報が3回もあったという。そして今年5月には、星華ちゃんの左目が充血しているのが見つかり、星華ちゃん本人から山下容疑者にやられたという主張もあったというのだ。

しかし、母親が「パートナーの手が当たった」と説明したことから、市は虐待はないと判断したという。これは市の判断にミスがあったと疑わざるを得ない。

市の対応に重大な過失か

そもそも、過去に虐待を疑う通報が3回もあった時点で、虐待の事実を疑うべきだった。その上、星華ちゃん本人から山下容疑者にやられたとの意見があったのなら、なおさら虐待を疑うべきだった。

母親が「パートナーの手が当たった」と主張したとしても、何らかの事情から嘘をついている可能性も十分にあり得る。過去数回の通報が虐待の可能性を十分に物語っている。にもかかわらず、実際に怪我をした星華ちゃんの意見を無視し、母親の言葉を鵜呑みにして「虐待はなかった」と判断するなど、対応機関として機能しているとは言い難い。

虐待の可能性が十分あったにもかかわらず、適切な対応を怠り、事態の悪化を招いた。しかも最悪の結果だ。これは市の判断に重大な過失があったと言えるのではないだろうか。

市が適切な対応をしていたら防げていた事件

今回の最悪な事件は、市が適切な対応をしていたら防げていた可能性が十分にある。

市の対応より先ずは母親の対応だろうと言いたくなる人もいるだろう。しかし、例えば母親も虐待の加害者であった場合。または母親がDV被害などにより日常的に恐怖で支配されていた場合。もしくは母親が人格障害発達障害といった何等かの問題を抱えていた場合。こういった事情があった場合には、例え我が子が虐待を受けていても、母親が親としての適切な対応をとるのは難しくなってくる事もある。

だからこそ、第三者である市の判断こそ責任重大であり、絶対的に最善が尽くされるべきなのだ。

何度も言うが、今回の事件において、市の判断は重大な過失である可能性が極めて高い。「仮に市が虐待の可能性を認識していても、虐待だけでは殺人まで予見できない」という意見もあるだろう。

しかし、日々これだけ虐待絡みの傷害致死事件が多数起きているのだから、そういった事件に発展する可能性は十分に考慮できる。

4歳児という、星華ちゃん自身の未来もあれば、国の未来も担う子供の命が奪われたのだ。重大な過失があったのなら、これは実質的に業務上過失であり、個人的には判断ミスをした職員も逮捕されるべきではないかとさえ思う。本当に、怒りが止まらない。